最初に結論
最初に結論を書くと、被告の同意を得て訴えは取り下げ、訴えは無かったものになりました。こちらの訴えは退けられ、被告の過失は一切認められなかったということになります。
当然ですが納得はいきません。しかし、少額訴訟を選んだのは自分ですので結果については受け入れるしかないですね。
裁判を通じて感じたことを備忘録として記すとともに、少額訴訟に興味を持った方に少しでも参考となるようにまとめておきたいと思います。
E83 LCI X3 玉野自動車にアイドリング不調で修理依頼した顛末(その1)
E83 LCI X3玉野自動車にアイドリング不調で修理依頼した顛末(その2)
審理
2018年12月25日、神奈川簡易裁判に14時20分ほどに着きました。少額訴訟は現場検証などないので、車を持っていく必要が無いことは知っていましたが、車だと落ち着くこともあり、訴訟の対象となっているX3で行きました。
2階へ上がり、階段を上った右手、申立人控室で待ちます。時間まで訴状、答弁書、準備書面などを読み返して過ごしました。この時点ではこの結果は予想もしませんでした。
開始5分ほど前になり、傍聴席から入室します。記名をして、書記の方に促されるまま原告席に座ります。被告側は代表者と承認となる工場長の2名で来ていました。各種サイトで紹介されているラウンドテーブルではなく、正面上段に裁判官、正面左手に書記、正面右に司法委員の方が座ります。いわゆるテレビで見る裁判シーンそのままです。被告と原告は証人席を隔てて向かい合う感じです。お互いに表情もよく読み取れる距離です。
定時に開始し、はじめは裁判官から少額訴訟の注意点が説明され、同意を求められました。
注意点は次の通りだったと思います。
- 判決で負けても控訴できない
- 原則1日で終わる(異議申し立てをすると延長することもある?と言われていたかもしれませんが定かではありません)
- 通常裁判では、主張と証拠は分離して確認するが、少額訴訟では同時に取り扱い、裁判官が整理する。
これらが約7分ほどだったでしょうか。続いて裁判官が全体の流れの整理のため話始め、オイル漏れ点検についてどう思うかと質問されました。
私はオイル漏れの点検を依頼していないし、オイル漏れをしていること事態しらないので依頼する理由がないといった旨を簡潔に返答しました。
他、車を引き取ってから誰が治したのか、引き取りを決断したのはいつか、返金を要求したのはいつかなどの質問がされたと思います。
被告に対しては、オイル点検費用がいくらなのか、エンジン不調の修理をした場合はいくらだったのか、車引き渡しは誰が対応したのかなどの確認がされました。
こんなことが15:25くらいまで続きました。被告、原告とも発言は限られ、裁判官の意図から外れると声をかぶせられ発言を遮られます。被告、原告が直接主張を交わすことはないですし、裁判の場で事実関係がひもとかれ、真実を解明するわけではないようです。
その後、裁判長から全体の印象と、法律に照らし合わせてどのような解釈がされるのかという一種の見解が述べられました。内容は次のような感じであったと思います。
- 修理依頼は途中で終了しており、請負契約の債務不履行とは言えない
- 代金を支払った時点で契約は終了しており、返金するのは難しい
和解模索
その後、15:35くらいから司法委員による和解を提案(選択肢のない強制といっても間違いではないです)され、別室で被告、原告の順で個別面談を受けました。
司法委員からは、被告は一切賠償する気がないと伝えられました。裁判長からの話でも合った通り請求は難しいのではないかとのことでした。
司法委員は訴訟の内容を詳しく理解しているわけではなく、町内会長さんのような印象で、まさに和解(なかなおり)させるようなことをするのです。
何を望むかということを聞かれ、金額はどうでもいいから作業の不備を認め謝罪してほしいと伝えました。謝罪が無理なのであれば、金銭に変え賠償金ということで支払ってほしいとしました。金額は折半の意味で、5割と申し出ましたが、司法委員はとても無理だろうとのことで、3割要求としました。相互に誤認があるのにもかかわらず、被告に過失が一切ないというのはおかしいとも主張しました。
ただ、司法委員は内容を理解していないので適当なことを言ってきます。MAFセンサーについても修理へ預ける前に原告で交換していて症状が変わらないことも理解していませんでした。交換しても新品でも治らないことはあるだろうとか。点検は実際にしてしまって発生したものだから支払わなくてはならない、などです。
形式的だけだったのかもしれませんが、3割返金の和解案が司法委員から被告へ伝えれ増したが、被告は受け入れませんでした。
当然ですが、私も受け入れられません。平行線となったため、司法委員は裁判長へ報告しますとのことで調停は終了となりました。
その後、裁判官へも被告、原告の順で呼ばれ個別に面談をしました。
そこで裁判長から、オイル漏れ点検の依頼をしていないということではなく、被告からの途中経過でオイル漏れを指摘された時点で、オイル漏れ点検は依頼をしていないと伝えたか問われました。
依頼していないと伝えたのは、車の引き取りの時だと返答しました。それを受け、たとえ受け取り時に否定しても、点検費用は支払わなければならないのが法的な解釈ですと伝えられました。
私としては、オイル漏れの点検依頼にフォーカスが当たっているが、訴訟の主題ではなく、おまけのようなもので、訴えたいのは修理の依頼をして23日経過しても一切利益となる情報が得られていない、アイドリング不調への対応だと伝えたのですが、受け入れられませんでした。
裁判長から形式的に、被告への取り下げに対する同意確認がなされて調停終了です。
結末
その後、法廷に再度一同集まり、訴訟取り下げと同意について報告されて終わりました。
事務手続きとして残った切手の精算が書記官により行われました。この時大体16:50くらいだったので、結構な時間和解に向けて費やされました。
振り返り
訴訟取り下げという不本意な結果となり大変悔しいです。
振り返ってみると、このような事案は少額訴訟では無理があるのではと思いました。ポイントとしても大きく次の3点ですが、事実関係がつかみやすいからなのか、ほとんどがオイル漏れ点検についてしか取り扱われませんでした。
- 3週間たっても原因もわからないアイドリング不調の修理に関する費用返金
- 正常ではないとされたMAFセンサーが、実はアイドリング不調には関係がなかった為の部品の買取
- 依頼していないオイル漏れ点検費用の返金
上のうち、1つに絞っていれば結果は違ってきていたのかもしれませんが後の祭りです。
少額訴訟は被告の過失や債務不履行が明らかな場合に限って使用したほうが良さそうです。双方に主張があり、証拠にも乏しいと資料の準備だけ大変で、全面的に訴えが認められることは無さそうです。というと、少額訴訟の例として挙げられているものに集約されるんですかね。給料支払え、とか、代金支払えとかね。
そして、教訓としてはこんなことでした。当たり前のことですね。
- 簡単な依頼でも文書に残して確認すること
- 依頼内容に疑念が出たら、その場で確認すること
- 依頼し、実施された内容に満足しなければ、安易に代金を支払うのはやめること
- 疑念を感じたら、無理をせずに取引をやめること
この日は日経平均が1000円以上も下落するし、訴えは取り下げるし、とんだクリスマスとなりました。
資料
訴訟に用いた資料を掲載しておきます。読み貸してみると、双方とも弁護士等ではなく本人のため資料が稚拙ですね。
原告による少額訴訟
訴状
甲一号証 (MAFセンサー購入の証跡)
甲二号証
甲三号証
甲四号証
甲五号証 ( 被告の商業登記簿謄本 )
被告が提出した資料
答弁書(画像1、2、3、4、5、6) (テキスト)
乙一号証
乙二号証(画像1、2、3)(テキスト)
乙三号証(画像1、2)(テキスト)
乙四号証(画像1)
乙五号証(画像1、2)
乙六号証(画像1)(テキスト)
原告による答弁書への反論
準備書面
甲六号証( 次のサイトを英語、日本語で印刷したもの https://www.e90post.com/forums/showthread.php?p=22826738 )
甲七号証(
次のサイトを英語、日本語で印刷したもの https://www.bimmerfest.com/forums/archive/index.php/t-632144.html )
甲八号証(
次のサイトを英語、日本語で印刷したもの https://www.e90post.com/forums/showthread.php?t=1529566 )