自動車関連のニュースを見ていて多いなと感じるのは、最近欧州を中心に、BEVの新車発表が多いのは2021年から導入される新欧州燃費規制があるからというもの。
新欧州燃費規制ってなに?
自動車メーカーの平均燃費により、1㎞走行あたりの二酸化炭素排出量が95g/kmを超える場合には1gあたり、95ユーロ×販売台数のペナルティが徴収が課されるというものらしい。
マツダは2019年に欧州で25万6562台販売しているらしい。マツダの2019年平均燃費は135.4g/kmらしいので、単純にペナルティがいくらになるか計算すると、
256,562×(135.4-95)×95ユーロ=984,684,956ユーロ(2020/7/13 1ユーロおおよそ121円とすると、119,146,879,676円と1千億円以上のペナルティ発生)と、とんでもない金額になります。
平均燃費は、その年にそのメーカーが販売した車の平均燃費でしょうから、ラインナップしていても全く売れないBEVでは平均燃費を下げることにはならないわけで、いかに売れる、燃費の良い車(手っ取り早いのはBEV)を作るかがカギとなっているのでしょう。BEVが0g/kmとして計算されることには違和感満載ですけどね。
同じくこちらのモーターファンのニュースですが、こんなことも書かれています。
95g/km規制にはさまざまなルールが設定されている。そのなかに「マニュファクチャラー・プール(Manufacturer Pools)」という考えがある。これは簡単にいうと、グループ一緒の計算でもいいですよ、という意味だ。VW、セアト、スコダのCO2オフセットをアウディやポルシェに使えるというわけだ。
https://motor-fan.jp/article/10014647?page=2
トヨタでいえば、このマニュファクチャラー・プールにレクサス、スバル、マツダも入る。このプール全体で95g/km以下にする必要があるのだ。BセグコンパクトハッチバックよりもCO2排出量は多いがその分価格も高いB-SUVが90g/km以下で20万台売れれば、そのインパクトは非常に大きい。
これを見ると、マツダはトヨタと同じプールとして計算できる(トヨタが歓迎するかは別として。。)としています。となると、相当にペナルティは減額となるのでしょうが、そのせいでペナルティが増えてしまうトヨタに対して何かしらの支払いが生じる取り決めなどがあるような気がします。
そして、実際の目標となる数値はメーカーごとに複雑な計算式で算出されるなんて言う情報もあります。
実質的に95g/kmを超えないメーカーはトヨタだけだといわれているようで、欧州最大のVWですら多額のペナルティが必要となるような規制をかける欧州の狙いが良くわかりません。CO2削減に本気なのだな、という事なのかもしれませんが、CO2削減するという手段が目的化しているという意見もあるようですし。
NEDCとWLTCとの関係
計算には、NEDCというなじみのない数値をしようします。この時点で日本人には理解がし辛いと思うのは私だけでしょうか。NEDCはnew European driving cycleだそうです。newと言っていますが、その前の基準に比べて新しいというだけで、既に世界統一のWLTCへ移行が決まっているようですので新しいというわけではなく、2012年にできた基準のようです。
とある自動車評論が、JC08よりも20%ほど厳しくなる、と書いてますがこの人は私、信用していないので。
NEDCは二酸化炭素排出量としているようなので、燃料の排出する二酸化炭素から計算してみることにします。
ガソリン1Lが燃焼した時に生じる二酸化炭素は2.322kgだそうです。
例として、Mazda3 Skyactiv-X 6ATのWLTCは17.2km/lですので、2,322g/17.2kmとなり、135g/kmです。95g/kmには到底及びません。
逆に、NDEC 95g/kmはWLTCでは2,322/95=24.44km/lとなります。24.44km/l越えの車というと、純粋なエンジン車では無いのでは?と、新欧州燃費規制の達成が困難なことが分かったので一件落着(ヤリスの1.0Lでも20.2km/lでした)。
軽油は1Lが燃焼した時に生じる二酸化炭素は2.619㎏か。となると、CO2排出量に焦点を当てると達成はより厳しい、2.322/2.619で0.887となり、27.55km/lの達成が求められる。ホント?